心肺停止で倒れた夫のよみがえり日記 21日目
2018年8月14日(火)

お盆の帰省で、東京駅も名古屋駅もすごい人。

思えば、お盆に新幹線で移動してるって初めてじゃなかろうか。

世間のお盆休みを肌で感じながら、東京から病院へ直行した。

名古屋に着くと、スーツケースを駅のロッカーに預け、手ぶらで病院までてくてくと歩いてゆく。
外はまだまだ暑い。
暑さでグッタリする。

一方、病院の中は涼やかで、お盆休み中とあって、待ち合いも人がまばらだ。

お盆休み中だし、大した進展はないだろうな〜とタカをくくっていたら、逆だった。

倒れた時の検査と話

8/12(日)は、倒れた日に搬送されてすぐに行ったカテーテル検査の結果を見せてもらえたそうだ。

私たち家族は、倒れた日、カテーテル検査の動画を見ながら先生の説明を聞いたが、けんちゃん自身は今まで見たことがなかった。

自分の心臓の動きと、あちこちが細くなっている冠動脈を見て、ようやく自分の心臓がどうなっているかリアルにわかった とショックを受けていた。

自覚症状もない、健診で引っかかるような要素もほぼない。(血圧も心電図も異常が見つかるレベルではない)
肥満も、喫煙もない。
家族歴もない。

一般的に言われる原因に心当たりはないのに、心臓の血管は細くなっている。

それを動画で見せられたら、ぐうの音も出ないよね。

それから、倒れた日の時間の記録を教えてもらったそうだ。

10:10 倒れて救急要請
10:13 救急隊到着
10:23 病院着

倒れてから13分で病院に到着。

どれだけスピーディーに助けてもらえたかがよくわかる。

突然倒れてから電気ショックが1分遅れるごとに、救命率は約7〜10%ずつ下がると言われている。

けんちゃんがほぼなんの障害もなく、戻ってこれたのは居合わせた会社の方々が胸骨圧迫(心臓マッサージ)をすぐに行ってくれたからだ。

おそらくここのタイムラグはほとんどない。

そして目の前に消防署があり、すぐに電気ショック(AED)を受ける。

AEDにより心室細動の状態になり、その状態で病院に搬送された。

病院までの搬送時間は10分。
倒れて救急要請して13分後には病院で治療を受けれている。

ネットでいろいろ調べれば調べるほど、倒れてからの時間経過が分刻みで生死に直結してるのは明らかで、けんちゃんはどれだけの幸運だったかがわかる。

会議で発言中に倒れることさえ、幸運だと思う。

休憩中やトイレで倒れていたら、気づいてもらえない。

想像すればするほど、その幸運さに奇跡としか言えなくなる。

けんちゃん自身も、改めて、居合わせた会社の人達に感謝の涙を流していた。

「オレのいのちは会社の人達に救ってもらった」

心臓カテーテル検査と静かな時間

8/13(月)からは心臓の検査がはじまった。

倒れてから回復することだけに専念してきたが、21日目にして治療のステージに向けて始動だ。

8/13は、心臓エコー検査と心電図。
8/14は、カテーテル検査。

火曜日は東京から病院に直行したら、カテーテル検査に行く直前だった。

カテーテル検査は、検査後に安静が必要なので、いろいろと制約ができる。
ならば、様子を見てから帰ろうと、そのまま病室で検査を待つことにした。

検査自体は1時間弱程で終わった。

車いすで行き、ベッドで戻ってきた。

大変なのはこれからだ。

仰向けのまま6時間の安静が必要だからだ。

検査に行ったのが夕方だったので、終わって戻ってきたらすぐに夕食の時間だった。

仰向けで安静なのに、食事は普通に出てくる。

どうやって食べるんだよ…

おかずは小さくして口に運べばいいけれど、ごはんは食べにくそうだと感じたので、看護師さんに相談して、おにぎりにしてもらった。

予め聞いていなかったけど、この検査の時間に居合わせていて良かった。

わたしがいなかったら、夕食はどうやって食べることになったんだろう。

運ばれてきた夕食を一口サイズにして、けんちゃんの口に運びながら、二人でそんな話をした。

窓の外では、ビルが夕陽に照らされてオレンジ色に染まっていた。

夕方6時のテレビニュースが今日の出来事を告げている。

二人で、「何食べたい?」「なんでもいい」
そんな会話を繰り返しながら、一口一口夕食を噛み締めながら食べる。

過ぎてゆく時間がとても静かだ。

静かでいて、とても豊か。

思えば、こんな時間の過ごし方、したことあったかな。

倒れてから毎日全力疾走だったのは間違いないけど、倒れる前だってこんな時間を取れるのは旅行にいった時ぐらい。

いつも、常に、何かをやるために全力で走ってる気がする。

それはお互いに。

過ぎてゆく時間を噛み締めるように、ゆったりと味わうなんてこと、日常ではほとんどしていない。

その慌ただしさがあたりまえになってる。

こうやって、ゆったりと過ごす時間を持ててはじめて、ただごはんをゆっくりと味わっている時間こそ豊かな時間なのだと気づいた。

静かに流れてゆく時の中で、ただごはんを食べるだけ。
ごはんをゆっくりと食べているけんちゃんを手伝いながら、それをただ眺めているだけ。

とても満たされていて、とても幸せな時間。

今までの日常を思うと、とても贅沢だとも思う。

神さま、こんな時間を与えてくれてありがとう。
こんなに豊かで満たされた時間を過ごさせてくれてありがとう。

こんな時間を過ごせること自体がとても幸せだと思う。

なんてことない、ただの夕食時間だけれど、とても豊かで満たされて、幸せいっぱいな時間だった。

ゆっくりと1時間かけて、けんちゃんは夕食を完食した。

これから先、こんな時間が取れるかどうかわからないし、日常に戻ってしまえば、また時間に追われる日々になるだろう。

だからこそ、この日、この時間は、宝物になる。
きっと一生忘れないだろう。

それぐらい、心に残る満たされた時間だった。

その後、結局、面会時間目いっぱいまで病室にいて、別れを惜しんで病院を後にした。

いつもの喧騒がない、お盆の街中を歩きながら、そういえば、朝は東京にいたんだよな と思う。

長い1日だったなぁ。

東京にいた時間がもう何日も前と感じるほど、中身の濃い1日だった。

けんちゃんが倒れてはじめて東京を往復した4日間だったけど、気持ち的には1週間ぐらいのような気がする。

今日だけでなく、とても濃い4日間だったな。

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この記事を書いた人

みうら 雪絵

みうら 雪絵

心理カウンセラー/
ネイチャー・セラピスト/
地球旅人/Outdoor Activist/
日本自然保護協会 自然観察指導員/
日本シェアリングネイチャー協会 公認ネイチャーゲームリーダー/
Read For Action リーディング・ファシリテーター

自分を見つめ向き合っていく心理カウンセリング・セラピーを、自然の中で行っている。
いのちを輝かせて生きる”自分”の道を探るサポートする、魂のガイドも担う。

日本を、自然を、こよなく愛し、旅し続ける地球旅人(たびんちゅ)でもある。