2018年7月25日
LPL養成講座 第3講2日目、夫婦、恋愛、パートナーシップ、人との関係性の学びの真っ最中に、iPhoneのバイブレーションが電話の着信を知らせてきた。
メールの着信と、電話着信のバイブレーションは変えてあるので、すぐに電話と気がついた。
講座内では機内モードにすることがルールになっているけれど、スタッフなのでマナーモードにしていたこともよかったのかもしれない。
着信通知は続けて2回あり、「ん?これは??」と思って画面をみると発信者には夫の名前があった。
!!!
息子に何かあった?!
起立性調整障害で学校に行けない息子に何かあった?! と慌てて室外に出て、電話をとる。
「何かあった?」
だけど、電話の向こうから聞こえてきたのは女性の声だった。
「ご主人が倒れました」って?
後から振り返ると、この声の違いの瞬間から混乱が始まっていったように思う。
電話の向こうは、夫の会社のスタッフだった。
社名がカタカナなので、知らない会社名のように聞こえて、瞬間的に構える声色に変わる。
「ご主人が今朝倒れられまして」
は?
何??
倒れてって、何のこと???
彼女も動揺しているのだろう。
話の筋道が通ってなくて、状況が把握できない。
彼女も慌てている。
『今朝、会議中にご主人が倒れられまして、今すぐ病院に向かっていただきたいんです』
『かなり急を要する…』
語尾は何を言っているか、入ってこなかった。
すぐに病院?
今はLPL中だから行けないよ。
アタマの中でそんな声が聞こえる。
『わかりました。とりあえず状況を把握したいのですが、どんな症状なんですか?』
『それが、急だとしか…』
後からその場に居合わせた方に聞いた話だが、すでにその場で心停止して、心臓マッサージを受けていたらしい。
一方、わたしは何が起きているかわからず、状況を把握しようとする。
話を整理しながら聞き直すと、
・会議のために名駅の会議室にいた
・会議中に突然意識を失って倒れた
・とにかくすぐに病院に行って欲しい
ということらしい。
「とにかくすぐに」
この言葉に、身体に緊張が走る。
病院の名前だけ聞いて、電話を切った。
状況を把握したいけれど
自宅にいた義母にも連絡したということなので、義母に電話する。
どんな電話だったか内容を確認しつつ、わたしにも伝わっていることを伝える。
落ち着いてもらう。
次に、どんな症状で倒れたか全くわからないため、付き添ってくれた会社の人に電話をするも繋がらない。
そこで、病院へ直接かける。
しばらく待たされた後、救急の看護師さんと話ができた。
とにかくすぐに病院へ。
ここでも同じことを言われるが、なぜかわからなければ動けない。
そういう自分がいる。
看護師さんに東京にいることを伝え、なぜ「とにかく」の必要があるのか聞くと、外線から入った電話には症状は答えられないという。
わたしが誰か、確認がとれないからだ。
わたしの携帯電話番号を伝え、その電話番号が本当に妻だということを夫の勤務先に確認してからかけ直すという。
セキュリティの観点から考えれば仕方ない。
一旦、電話を切って、室内へと戻った。
我にかえる
ちょうど休憩中だった。
病院からの折り返しの電話を待つ間に、今起きていることを講座中の明美ちゃんに、まず伝える。
『明美ちゃん、ダンナが倒れたそうです…』
言い終わるか、終わらないかのうちに明美ちゃんが強い口調で言った。
『帰って。すぐに帰って!』
その言葉を聞いてはじめて、何が起きているかわかりはじめる。
明美ちゃんの真剣な眼差しに、今起きていることは、普通じゃないと理解した。
はじめて涙が出てきた。
彼は今、たぶん生死の境にいる。
休憩中だったので、講座に気遣わずにすぐに片付けに取りかかる。
スタッフのみなさんに業務の引き継ぎもする。
そして、病院からの電話が入ってきた。
一命は取り留めた
担当の医師から、夫に何が起きたか説明を受けることができた。
救急者で病院に運ばれ、心停止から蘇生して、一命は取り留めた。
その言葉で大きく安心する。
ただ、意識は戻っておらず、すぐに病院に向かって欲しい。
状況は余談を許さない。
疑ってるのは心筋梗塞だが、詳しいことは検査してみなきゃわからない。
とにかくすぐに病院に来て欲しい。
話を冷静に聞いているわたし。
でも、話を聞いていても、夫がどんな状態なのか全く想像つかないのだ。
もしかしたら、もう二度と生きて会えないかも。
そんな想像が全く浮かんでこない。
とにかく行かなきゃ。
ただそれだけだった。
医師との電話を切ると、自宅へ電話し、義母に現状を伝える。
病院に一番近いところにいる、夫の末弟がすでに病院に向かっていることもわかった。
電話口に息子に出てもらう。
彼はとても落ち着いていた。
義母のことを息子にお願いして、二人で病院に向かってもらう。
最悪の事態のことも考えて、夫の次弟にも連絡する。
仲の良い三兄弟だし、わたしは結婚してからこの次弟の存在にとても助けられてきた。
来れるなら病院に来て欲しいと伝えると、行くよと言ってくれた。
これで回りはOK。
次は自分ごとだ。
チームLPL
部屋に戻るとレクチャー中だったため、近くにいたスタッフの方に、わかった状況を伝えた。
すると、マナさんがヒーリングのお仲間にすぐに依頼するからと、申し出てくださった。
後から知ったんだけど、早ければ早いほどいいらしい。
マナさんに状況を伝えて、ヒーリングをお願いした。
荷物をまとめて、静かに部屋を出る。
目のあったスタッフさん達に、目で感謝を伝える。
こういう時に、安心してお任せして抜けることができるのがチームLPLなのだ。
主催者のひでちゃんが、タクシーを拾うまで付き添ってくれた。
これぐらいしかできないから とそっとタクシー代を手渡してくれた。
LPLのスタッフのみなさんの愛の大きさに涙が溢れてくる。
名古屋へ
タクシーに乗って、東京駅に向かいながら、新幹線の予約を変更する。
昼間だし、すぐに席は取れた。
たぶん、ひとりになると涙が止まらなくなるだろう。
そう思って、落ち着いた雰囲気のグリーン車を予約する。
普通車で人目を気にしながら泣くよりも、グリーン車ならそんなに人目も気にならない。
ホームに上がると時計が目に入った。
12時を回っているけれど、お腹が空いてこない。
朝から野菜ジュースだけだったけど、空腹感がない。
のぞみだから車内販売もあるし、いいや!と何も買わずに乗車する。
着席して、息子や弟に到着予定時間をLINEする。
やりとりしてると、末弟が駆けつけてくれたおかげでカテーテルの処置と検査がはじまったことがわかった。
たくさんの人たちが、彼を助けるために動いてくれている。
感謝の想いが込み上げてくる。
そして、一人になってはじめて、彼への想いが溢れるように込み上げてきた。
LPLで、心と身体は別々ではなく、ひとつだと学んでいるので、何で心臓が止まるようなことが起きたのか、そんなことを考えはじめた。
直前の週末に、彼は北アルプスに友達と行っている。
異常に暑い夏だから、何かあったんだろうか?
同行していた人は、大学ワンゲル部の仲間で、わたしも直接知っている先輩なので、何があったか知りたいとメールを送ってみた。
ただ、登山の影響よりも、心労の方が気になる。
このところ、息子のことでかなりストレスを溜めていたことは間違いない。
息子にすごく気を遣って接していたのはなんとなく感じていた。
帰宅するのがイヤだ、辛いとも言っていた。
家が1番好きで安らげる場のはずなのに、家にいたくないとも言っていた。
だから、週末は山に行く。
身体は痛くて辛いのに、家にいたくないから山に行く。
山に行きたいけれど、家に息子を置いていくことが気になって罪悪感もあった。
しかも、わたしは飛び回っていて、家にいない。
さみしい。辛いが言える人だし、その言葉を何回も聞いていた。
なのに、わたしはわかろうとしていなかった。
聴こうとしていなかった。
あなたは強い人だからガマンして。
そんな態度をこのところとっていたのだ。
彼がさみしさを一番わかって欲しかったのは、わたし。
どれだけさみしくて、孤独だったんだろう。
それをわかって欲しかったのに、わかってもらえない。
話もちゃんと聴いてもらえない。
彼はきっとそう思っていただろう。
でも、それを強く言わなかった。
ポツリと漏らすように口からこぼしただけ。
いつもの彼らしくなかった。
それだけ苦しかったんだろう。
ガマンしてたんだろう。
日頃の自分の態度を振り返ると、彼をどれだけ傷つけていたか。
そう考えると涙が止めどなく溢れてきた。
彼への想い
この日発表予定だったプレゼンのために、夫にヒアリングしても、その端々に感じられた。
だから、2日前にそのことを主訴にして、クライアントセッションをやったばかりだった。
わたしの至らないところを指摘されると、部分的なことのはずなのに、全否定された気分になる。
ここでは、ビリーフの詳しい話は割愛するが、彼の話を聴けないのは、ビリーフが関係していると気づけたので、そのビリーフを手放したばかりだった。
楽天タイプで、自分のネガティブなことに繋がるのが苦手なわたしには、このビリーフを外せたことはとても大きくて、東京滞在が終わって帰ったら、彼の話もちゃんと聴こうと思っていた矢先の出来事だった。
自分がとっていた言動に後悔の念が山ほど出てくる。
このままなんて、絶対イヤ!!!
ふとホ・オポノポノの言葉が浮かんでくる。
ごめんなさい。
許してください。
ありがとう。
愛しています。
車窓を流れてゆく景色が、涙で滲む。
声を殺しているのが精一杯だった。
心の中で、ホ・オポノポノの言葉を繰り返し繰り返し、何回も何回も呟きながら彼を想う。
もし、会えて話すことができたなら、まず一番に伝えよう。
ごめんね。
わかってあげようとしていなくて、ごめんね。
さみしかったよね。
苦しかったよね。
話、聴いて欲しかったよね。
こんな未熟なわたしを許してね…
いつもありがとう。
毎回東京の帰りには、どんなに遅い時間でも駅まで迎えに来てくれてた。
今日も迎えに来てくれると信じてた。
でも、それはあたりまえじゃなかった。
あたりまえなんてひとつもなかった。
感謝を伝えてはいたけど、あなたの心まで届いていたのだろうか。
口先の言葉じゃなかったのかな。
あなたの優しさには、言葉じゃ伝えきれないくらい感謝してるのに、ちゃんと伝えられていたのかな。
あなたに会えたら、ちゃんと言う。
宇宙一愛しているから、戻ってきて。
わたしのところへ戻ってきて!
戻ってきて、また抱きしめて。
かわいいねって、頭を撫でて。
このまま会えなくなるなんて辛すぎる。
わたしがさみしくて死んでしまう。
ずっと孤独でさみしかったわたしの人生に、光を与えてくれたのはあなただから。
人生を楽しむこと、人生は楽しいものだと教えてくれたのはあなただから。
あなたがいなくては、わたしは生きていないのも同じなの。
だから、お願い。
どんなあなたでもいい。
戻ってきて、一緒に生きて!
そして叶うなら、また一緒に、山に、旅に行こう。
一緒に世界中を旅して歩くって約束、まだ成し遂げてないよ。
どんなあなたでも一緒に歩きたい。
だから、絶対にわたしのところに生きて戻ってきて。
ごめんなさい。
許してください。
ありがとう。
愛しています。
名古屋までの時間がとてつもなく長く思えた。
一刻でも早く彼に会って、伝えたかった。
病院でわかったこと
名古屋に着くとタクシーをつかまえて、病院へ直行。
幸い、名古屋駅から歩いても行ける距離なのだ。
病院に着くと、息子入り口で待ってくれていて、ICUに直行する。
わたしが着いたら、書類の手続きや先生の話があるから と、家族は待っていてくれていた。
先生がすぐに来てくれて、現状を話してくれた。
・会議中に倒れて、その場で心停止になった。
・救急隊の方がすぐに駆けつけてくれてAEDを使用するも心室細動を起こす。
・心臓マッサージを受けながら病院へ搬送。
・病院で蘇生
・自発呼吸はできているが、意識は戻っていない。
・しきりに動こうとするので、意識が戻る可能性は高い。
・検査をしてみたところ、心筋梗塞を起こしている。
・心筋梗塞を起こした結果、血液が循環しなくなり、脳に血液が流れず意識を失って倒れた。
・検査の結果、冠動脈が細いところが1カ所ではない。
・あちこちに細いところがあり、心臓病と判断していいレベル
・50歳でこの血管の細さは異常。
・いつ、どこで、今日のような倒れ方をしても不思議ではない心臓をしている。
・とりあえず、一番危険と思われる場所にステントを入れて広げてあるが、広げたい場所は何カ所もあるため、すべてに入れて処置するのは困難。
・今後の様子次第では、心臓バイパス手術も必要かもしれない
・とりあえず、今は、心臓の動きが弱く不安定なので、安定をめざす。
一番ショックだったのは、心臓の血管があちこちで細くなっていること。
1カ所じゃないんだ…
先生には10年単位ぐらいで徐々に進行していたような感じだと言われた。
でも、家族歴もないし、胸が痛いとか、苦しいとかも聞いたことがない。
先生も首を捻っていたが、家族も驚いた。
それだけ身体症状を感じないようになっていたのだろうか…
そう思うと泣けてくる。
どれだけ頑張って、ガマンしてたの。
先生の話を聞き終わり、彼が検査から戻ってくるまでの間、手続きをして待つことになった。
看護師さんの説明を聞くためにICUには入ると、彼がちょうど戻ってきたところだった。
まだ処置があるため面会はできないけど、彼が横たわる姿を一瞬、目にすることができた。
けんちゃん、ただいま!
あなたのところに帰ってきたよ!
もういつでも会えるところにいるからね。
金曜日の夜、山に出かけていく姿を見送って以来5日ぶりの再会だった。
わたしにできること
入院の説明を受け、手続きを済ませ、それからかなり長い時間、面会を待った。
家族と話していて、会社の方のことが気になったので、電話してみた。
電話しながら、同席していた会社の方に気遣っている自分に気づく。
なにやってんの、わたし。
気丈に振る舞ってるけど、一番不安なのはわたしなんだよね。
そう思ったら、涙がどっと出てきた。
とにかく生きて欲しい。
このまま目も合わさず、言葉も交わせず、別れるなんて、イヤ。
たえられない。
彼がいない未来なんて、考えたこともなかった。
彼がわたしの隣からいなくなるなんて、想像したこともなかった。
ずっと一緒だったから。
お互い忙しくて離れてることも多かったし、昔は単独山行も行って欲しくなくて止めてもらってたけど、今は単独山行も行ってもらってる。
海外出張も多いし、長くて3カ月海外出張していたこともあった。
9.11の直後にアメリカに出張したこともあった。
でも、必ず帰ってくる と信じられていたから、彼がどこにいこうとあまり心配にはならなかった。
でも、今日はじめて、彼の存在がいなくなることを考えてしまった。
哀し過ぎて、
辛過ぎて、
考えたくなかった。
こんな痛みにたえられない。
ふと、明美ちゃんの前世療法を受けた時に味わった絶望を思い出す。
自分の大切な人、もの、すべてを失って絶望しながら孤独のまま死んだ わたし。
これじゃ、同じじゃないか!!!
前世のことは、前世に置いてきた。
もう終わった過去のこと。
前世から引きずってきたビリーフは手放して、今生を生きると決めたはず!
だから、同じことにはしない!
このまま彼を逝かせない!
そして、わたしは人生に絶望もしないし、孤独にもならない。
今生は、地球を楽しむと決めてきたのだから。
「わたしの大切なものはすべて失う」
そんなビリーフはもういらない!!
「思考は過去と未来を行ったり来たりする」
LPLでの明美ちゃんの言葉を思い出した。
「今ここ」に、いよう。
今、彼は生きている。
医療的なサポートがなければ生きていることはできない状態だけれど、今、彼は間違いなく生きている。
死んではいない。
絶望するのも、孤独に涙するのも、彼が本当にいなくなってしまってからでいい。
想像すると涙が止まらないけれど、今、確かに彼はここで生きている。
生きようと、全力で前を向いている。
ならば、わたしも彼とひとつになって、彼の「今」を感じよう。
そう思って、自分の心臓に手を当てる。
いつもより、心臓の存在をしっかりと感じる。
ときおりズキリズキリと痛む。
これは彼の痛みだろうか?
今ここで、彼の存在をハートで受け止める。
今のわたしにできることはこれしかない。
5日ぶりの再会
病院に着いてから3時間近く経っただろうか。
ようやく看護師さんが迎えに来てくれて、面会できることになった。
何度入ってもICUって緊張する。
心臓がドキドキしてきたのがわかった。
看護師さんの後について、彼のいる病室に入る。
彼の周りは当然、機器だらけだ。
これらに支えられて、彼は今、生命を維持している。
意識は混濁している状態で、耳は聞こえているだろうと言われたので、看護師さんに許可をもらって、彼の頬にそっと手を当てた。
あったかい。
血が通ってる。
苦しそうだけど、自分で呼吸もしている。
『ただいま。東京から帰ってきたよ。』
『痛かったよね。苦しかったよね。辛かったよね。さみしかったよね。』
『わかってあげようとしていなくて、ごめんね。』
『どれだけ時間がかかってもいいから、戻ってきてね。』
『ずっとずっと、そばで待ってるから。けんちゃんのペースで戻ってきてね』
『けんちゃん、大好きだよ。愛してるよ。どんなあなたでも愛しつづけるよ。』
『だから、わたしのところに戻ってきて。』
わたしの声が好き って言ってくれてたから、イメージだけでなく、声に出して伝えた。
彼の目に、かすかに涙が滲んだようにみえた。
何か言おうと声を発しようとするけど、管があるので唸り声にしかならない。
もしかしたら、ただの唸り声なのかもしれない。
手もあげるけれど、これも反射なのか、意識して動いているのかもわからない。
それでも、しっかりと受け止めて、うんうんと頷き、言葉で『うんうん』と伝える。
彼と意志の疎通が図れているのかは全くわからない。
でも、そう信じるしか、今はできない。
わたしたちは気体である。
その意識を持って、想いを波動にして彼に送る。
自分の体感覚の過敏さを活かして、彼の波動を感じようする。
彼は、伝えたいことをわかってくれてる気がした。
戻ってきてくれる。
昨日までと変わらない日々がやってくると信じられた。
今日はこれで充分だ。
頬を撫で、髪に触れると、朝つけていった整髪料が残っていた。
きっと、彼自信が一番混乱しているはず。
どうしてこんなことになったか、彼自信が理解できていないだろう。
朝起きて、会議のために早く出勤したいつもどおりの朝だったのに、今は病院にいて、自力で生命を維持するのが困難な状態にある。
言葉ではたくさん聞くけれど、ありふれた日常があたりまえなんかじゃない。
その現実が目の前にある。
アタマで理解していることが、今、現実に起きている。
LPLで学んで、本当によかったと思った。
ありのままの現実を、ありのままに受け容れることができている自分がいる。
この強さ、学ばなければ身につかなかったもの。
彼を想うと涙は溢れてくるけれど、すごく冷静だったと思う。
ただただ、彼には愛を伝えるだけ。
信じて待ってるよ と伝え続けることが、わたしの役目だと思った。
彼の生命を助けようと、こんなにたくさんの方が尽力してくれている。
なんて有難いことなんだろう。
心の中で、看護師さんや先生に向かって合掌した。
彼はそれを受け取れるだけの器がある人だ。
きっとみんなの愛を受け取って、元気になる。
そう信じられた。
家路
病院を後にして、家路につくと、急に疲れが出てきた。
息子も言葉や態度にしないけれど、緊張していたのだろう。
電車に乗ると、わたしにもたれかかって眠りはじめた。
全身からどっと出てくる疲れで、体が重く感じる。
時計を見ると、まだ18時前だ。
LPLは終わってないんだな。
LPLにいる時は1日が超短いけれど、今日はなんて長い1日なんだ。
家に帰ると動けなくなるが目に見えたので、帰る途中で家族とラーメンを食べて帰る。
彼はラーメンが好きで、いろんなお店をしらべては食べ歩いていた。
今日寄ったお店も、彼に連れてきてもらったお店だ。
息子が言う。
『今日はヤジ(夫のこと)と寿司の予定だったんだけどなぁ』
息子は外に全くそれを出さないけれど、すごくショックを受けているはずだ。
明るくつとめているけれど、彼が楽天タイプなのがこんなところでもわかる。
でも、その楽天さに、わたしがとても救われている。
息子に助けられているありがたさをしみじみ感じた。
帰宅すると、一気に気がゆるみ、息子にハグしてもらって泣いた。
感情は流さないと溜まる。
こんなときこそ、泣きたい時には泣いて感情を流さないと、自分がダメになるのは明白だ。
ガマンはしない。
こらえない。
息子にも、泣きたくなったら泣きにおいでと言う。
『わかってる』
お互いに支えあっていくしかないね。
長い長い1日が終わる
疲れもあったけど、寝る前に、Facebookに投稿した。
これを読んで、本当にたくさんの方から、コメントやメッセをいただいた。
ひとつひとつ読みながら、涙が溢れてしかたなかった。
なんて優しくて大きな愛に私達は包まれているのだろう。
こんなにも人の愛が身に沁みたことは今までなかった。
これが人の愛なのか。
Facebookで繋がっている友達だけでなく、世界中にいる彼の知人が彼の復活を願ってくれている。
わたしや夫のことを直接知らない多くの人達がヒーリングもしてくれている。
なんてありがたいことなんだ。
病院からの緊急連絡に備えて、片手に携帯電話を握りしめながら、気がついたら、眠っていた。