絵描き 少路和伸さんは青森在住の画家で、常設展示は仙台にありますが、毎年12月には出身地の大阪で個展を開かれています。
場内撮影、ブログへの掲載、いずれも許可をいただいたので、画像で雰囲気をご紹介しながら、少路さんの絵の魅力を語ってみようと思います。
Facebookページや、こうやって写真に収めた絵を見ると、アニメのセル画に似たような雰囲気がありますね。
少路さんの作品にはサンタクロースがよく描かれてるんですけど、このサンタが愛らしくて好きなんです。
プレゼントをいっぱい積んだソリで空を駆けめぐるサンタさん、季節を問わず空を飛んでるサンタさん、オフシーズンのサンタさんの日常生活。
なかでも一番好きなのはサマーバケーションを送るサンタさんで、サーフィンしてたり、南の島でイルカと遊んでたり(笑)
サンタさんってこんなふうに1年を過ごしてるんだろうなって微笑ましくなるし、とっても身近な存在に感じられるんですよね。
あぁ、ただのおじさんなのかも って(笑)
特別な存在なんかじゃなくて、どこにでもいるようなおじさんなんだけど、望めばいつでもソリを飛ばして来てくれる、そんな愛溢れる存在なんじゃないかなって。
サンタさんの背景には、よく空と海と太陽が描かれてますが、この海と空と太陽もわたし好みで、見てると同じ景色を見ているような、吸い込まれていくような感覚になります。
わたしは自分好みの空をカメラで、ワンプッシュで切り取りますけど、少路さんはあの空を、ものすごい時間をかけて描かれているんですよね。
あのグラデーションの美しい空がどんなふうに描かれているか、顔を近づけて見てみると、それはそれは、ひと筆ひと筆丁寧に描かれていて、その緻密さに圧倒されます。
よくモチーフになっているヤシの木なんて、思わず「こまかっ!」と声が出てしまうほどです。
この絵を描くためにどれだけの時を費やしているんだろう。
そう思うと、いつも原画の前で佇んでしまいます。
個展で展示されている作品は最新作が中心ですけど、場内で販売されているポストカードで、過去の作品を見ることができます。
お気に入りの絵を見つけては、購入しているうちに、毎年連れ帰ったポストカードが50枚を超えていました。(笑)
会場内では、ポストカードのほか、壁掛けカレンダーや卓上カレンダーが販売されていて、毎年個展に行くのは、これらを買うのも目的のひとつ。
壁掛けカレンダーの表紙に書かれている言葉が、毎年沁みます。
いつか原画を飾るのが夢なんですけど、それまでの楽しみが、毎年のカレンダーと、終わった壁掛けカレンダーの絵を額に入れて部屋に飾ることなんです。
使い終わった壁掛けカレンダーの絵は、全部日付欄をカットしてポスターホルダーに保存していて、季節ごとにお気に入りの絵を入れ替えながら楽しませてもらっています。
▲ 会場内には絵と一緒にディスプレイも 自宅でもこんな風に楽しめますね
▲ 今年はこの絵からなんとも言えないパワーとエネルギーをいただきました
少路さんはFacebookで絵の制作過程も公開されてますし、作品はポストカードにもなってますからいつでも見ることはできるんですけど、原画を目の前にすることでしか受け取れないものがあるんですよね。
絵にもライブ、生(なま)で会うと違うんですよ。
描かれた時の想いがこもってるでしょうし、ひとつひとつに「いのち」が宿ってるように感じるんです。
だから、少路さんの描くサンタさんは、同じ地球のどこかで、わたしたちと同じように生きている。
そんなリアルさと親しみを感じるんでしょうね。
以前、少路さんに空の色を見て、描かれているのは朝陽なのか、夕陽なのかとお尋ねしたことがあります。
少路さんは『受け取り方は自由なので、見たいように見てください。』と仰ってました。
絵にはタイトルもありません。
描かれているのはこの地球上ではない、別の場所かもしれません。
自分の感性で、好きなように受け取れる自由さがあるんですけど、わたしには、わたしたちが生きているこの地球の美しさ、寛容さ、愛の深さを感じずにはいられません。
それが、個展に毎年足を運ぶ大きな理由なのかもしれません。
2016年の個展は12/25まで、大阪・心斎橋 Carta Biancaにて開催されています。