21世紀の自由論 / 佐々木俊尚 著【読書録】白黒をつけず「グレー」の「やさしさ」を実現していけばいい

21世紀の自由論

第三の産業革命といわれる情報革命の真っ只中、これからどうなっていくか と、考えておいたほうがいいよね・・・と思いつつも、何から手をつけていいやら。。。

そんな私に考えるきっかけをくれた1冊でした。

世界は激動の時代

必要なのは正義ではなく、みなが生き残ることではないのか。

(本文より抜粋)

佐々木さんはいきなりこう投げかけています。

「生き残る」「生き延びる」

そんなこと真剣に考えたことなかった。

佐々木さんは、これからの世の中では、そこから考えていく必要がある と提言しています。

コマクサ

「あたりまえ」だと思っていること、常識だと言われていることも、変化の激しい”今”は変わり続けています。

自分が生まれた頃や親の時代になかったものがあり、親の時代さらに祖父母の生きた時代のことは遠い昔の話。

自分が生きる”今”が「あたりまえ」で、今までも長くそうであって、これからも同じように続いていく。

そう感じがちですが、違いますよね。

モノもそうですが、考え方や常識も同じ。

変わり続けています。

ここ数十年の変化は、激動なんじゃないかと、日々の生活の中で実感しています。

だから、この先どうなっていくかなんて想像できない。

想像できても想定外のことが起きれると、対応が困難になる。

すでに現実にもなっていますよね。

そんな予測不能の世の中で必要とされるのは、迅速に状況を判断し、リアルタイムで考えていく、「リアリズム」(現実主義)だと佐々木さんは言います。

予測も大切ですが、予測することに注力する以上に、起きたことに対応できるような体制を用意しておく。

生き延びてゆくにはそんな「リアリズム」が必要となる。

私たちにも柔軟な対応、考え方が必要になってくるんだな と感じました。

今の日本

知ってるようで、わかっていなかった社会の変化。今の日本。

本書では、歴史を紐解きながら、どう変化してきたのか、それが今にどう影響しているのか、とてもわかりやすく書かれています。

ふむふむと頷きながら読み進めることができました。

最近、「何だかモヤモヤする!」と感じていた部分も、本書を読んで「なるほどなぁ」と感じました。

それは、「マイノリティー憑依」と「ゼロリスク幻想」の話。

当事者ではないのに、当事者になったような、しかも弱者側に立ったようなニュースや記事。

それに対立する意見。

日々あふれるように流れてくる情報が、こんな話題だとモヤモヤするようです。

そして、怖さも感じました。

こんな状態でいいんだろうか と。

今の日本は、白黒つけたがる両極端によって、グレーである中間層が見えにくくなっている。

少なくともメディア空間ではこのグレーは可視化されていない。

(本文より抜粋)

メディアやITに詳しい佐々木さんだからこそ、この言葉には重みを感じました。

トウヤクリンドウ

しかし、これからの日本の社会はこれではいけない。

ゼロリスクではなく、白黒をつけたがるのでもなく、

「ものごとはたいていグレーであり、グレーであることをマネジメントするのが大切である。」

という非ゼロリスク的な考え方を社会として集約していかなければならない。

グレーであることによる「やさしさ」を実現していかなければならない。

(本文より抜粋)

「なにが正義か」では解決できないのです。

「グレー」によってバランスをとっていくことがこれからの社会に求められている。

これは自分自身にとっても同じなんだろうな と感じました。

「白」でも「黒」でもない、「グレー」でいいんだ と。

予測不能なこれからの時代を生き延びるために

私ならどうするか?

持っていたいな と感じたものは、視野の広さと、心のしなやかさ でしょうか。

枠を作らずいろんなものに接すること、それを・受け容れる心。

どんなことが起きても柔軟に考え、その変化を楽しむ。

そして時の流れには上手く流される。

自然界に生きる野生に、学ぶ姿勢があるのかもしれませんね。