映画「SONG OF EARTH」を見てきました 😊
感想その2 は「音」について。
豊かな自然音から感じる”静けさ”
この映画を見終わった後の第一印象は「”静かな”映画だったなぁ」。
今でも、思い出してみるとあの”静けさ”に包まれる。
ドキュメンタリー映画であり、「暮らし」「生活」「生きること」が描かれているから、もっと「語り」が多くても不思議ではないと思うんだけど、どちらかというと少なめの「語り」と、それを語るお父さんの静かで、落ち着いていて、素朴に、淡々と話す口調と相まって、なんとも言えない”静けさ”がこの映画全体を包んでいるんだよね。
BGMも、あるのかないのかわからないくらい。
BGMが耳に入っていることを忘れるくらいに美しく迫力ある映像に惹き込まれていたんだとも思うけど、リーフレット見て納得した。
氷河や湖のフィールド・レコーディングを楽譜におこし、オーケストラで演奏するという究極の音へのこだわり
なるほどぉ。
それがBGMが主張しすぎていない理由なんだ。
そして、BGMがないシーンもたくさんある。
自然の音だけのシーンだ。
非常にクリアに録られていて、そこにいるかのような臨場感を醸し出す。
特に、印象的だったのは、さまざな”水”の音。
雪解け水が川となり下ってゆく音
跳ね上がりながら、弾けながら流れてゆく川の音
滝を落ちる時の地響き
森に優しく降る雨の音
降った雨が葉から滴る音
氷河が崩れ落ちる轟き
氷河湖の底を静かに移動する水の音
凍てついた氷河の中で何かが動く音
こんなにもたくさんの”水の音”があるのかと思うくらい、多様な”水”の音があった。
水はいのちの源だと私は思うのだけれど、そんなメタファーとしても描かれていたのかも。
とにかく、余分な音がない。
それがこの映画全体の印象を創り出し、”静けさ”をより強調していたように思う。
この”静けさ”なんだけど、それは、この映画で描かれたオルデダーレンの静けさそのものなんだろう。
つまり、オルデダーレンのあるがままの姿が映し出されているんだと思う。
一切、何も付け加えられていない。
それが、あの”静けさ”。
それがどれだけ凄いことか!
1つ間違えば、つまらなくも思えてしまうだろう。
でも、そうじゃない。
それは、数々の映画賞の受賞や推薦が雄弁に物語っている。
冒頭の氷河の中でのシーンで、この音録ったのどんな機材だろう?と思ってしまったくらいに、おそらく、その場にいても気づかないかもしれない微細な音も表現されている。
いや、あの氷河の音を拾ってるのが凄い!!
あの音を聴くためだけにもう1回劇場に足を運びたいくらい。
そんな微細で、繊細な自然音を、体験できるから、”静けさ”を全身で感じるんだろうなぁ。
さらに、ちょっと話が飛ぶけど、音というのは”波”であり、周波数や波長で数値化することができるけど、”自然の音”には人間の耳が捉えることができない周波数域の音も含まれている。
この映画では、その可聴域外の音(耳では捉えられない音)も表現されていたんだろうな。
なぜかって、実際に自然の中にいる時と同じように、深くリラックスでき、見終わった後もからだが緩んだ状態が続いたから。
(リラックスしすぎて、鑑賞中何回も寝落ちしたけど😝)
専門用語で言うと、副交感神経が優位になったということ。
それが見終わった後も、数日経っても、映画のことを思い出すと、オルデダーレンの静けさと共に、からだが緩む。
人間は耳だけでなく皮膚でも音を聴いている。
映画館で音に包まれて鑑賞することで、全身がオルデダーレンの自然な音に包まれていたのだ。
オルデダーレン渓谷の中で、お父さんと共に、ずっと四季を過ごしているような、いつも一緒に散歩に出かけているような、そんな時間だったなぁ。
それが見終わっても持続してるって凄いことよ。
しみじみ、良き時間でした☺️
最後に、
この予告編からは、そんな”音”の一端が感じらるので、どうぞ😊
感想その3 では、映画をとおして感じた「自然と人生について」考察してみようと思います!
公式サイト→ 映画「SONG OF EARTH」