ある日夢から目覚めた時、悲鳴にも似た言葉が出てきました。
『やっぱりわたしの大切なものは全部持っていかれちゃう』
この言葉は自分の行動を制限してしまうビリーフ(思い込み)のひとつでした。
このビリーフを探求するセッションの体験話です。
まず感じたままの感情・想いを吐き出す
この時見た夢のストーリーは実はあんまり覚えていないんです。
ただ、最後に感じた不安とも、哀しさとも言えない複雑な感覚に包まれて目が覚めてしまいました。
この最後の感覚は、過去の実体験が元になっているような気がするのです。
その体験とは、中学の頃からとっても仲良しで、高校も同じ学校へ進学した彼が、お父さんの転勤で遠方へ引っ越す という体験です。
この夢でも、その彼が後ろ姿を見せて去ってゆくシーンで目が覚めました。
この彼との夢は、直近の1回だけではなく、繰り返し何度も見ているんですよね。
内容はまちまちなんですが、「彼が去っていく」というシーンで必ずドキッとして目が覚めちゃう。
この繰り返しということに「ここに何かがある!」と、自分で強く感じたのです。
カウンセラー・セラピスト的に言えば、「ツボだ!」と思ったわけです。
そこを深めて欲しくて、セッションではここの感覚を思い出し、しっかりと感じることから始めました。
出るわ、出るわ。
感じていたけれど、押さえ込んでしまった感情。
言いたくても言えなかった言葉。
本当は、すごく寂しくて、泣きたくて仕方なかったのに、その想いも、言葉も全部飲み込んで、押さえ込んで、笑顔で『またね』と別れたあの日。
どれだけガマンしてたのか。
どんなに泣きたかったのか。
カウンセラー・セラピストとしての学びの中で、こういった感情を癒すことが大切だとわかっているのに、こんなに複雑な感情を抱いていたことをすっかり忘れてしまっているほど深いところへしまいこんでいたんです。
そうね。
押入れの奥底、深~いところに入り込んで存在をすっかり忘れてしまっていたモノがひょっこり現れてきた。そんな感じかな。
これもクライアント体験を重ねて、自分という押入れを整理してきたから出てきたんだよね。
カウンセラー・セラピスト的に言えば、よくぞ出てきてくれました!と歓迎したくなります。
この時の感情を思い出したら、さらに前の記憶、同じような体験も出てきてしまいました。
『わたしの大切なものを持っていかないで!』
思い出したもうひとつの体験とは、中学の時にも、同じように親友と引っ越しで離れ離れになる体験をしたこと。
この時も、あまりに突然のことで自分を整理しきれなかったことを覚えています。
中学の時のわたしは、クラスの女子に無視されていて、クラスの中に話せる女子はほとんどいませんでした。
女子に煙たがられている存在だったんです。
そんな中でも、なぜか男子達は何事もなかったように接してくれていて、その親友クンはクラスの中で孤独なわたしが何でも話せる話し相手であり、理解者でした。
彼がいてくれたから、あの時の辛い状況でも学校を休むことは1日もなかったんですよね。
その親友クンも、引っ越しを知った日からわずか2週間あまりで去っていきました。
この時のことも、セッション中にしっかりと感じて、言えなかった言葉と感情を全部吐き出しました。
寂しい!
行かないで!
一人にしないで!
絶対嫌だ!
わたしの大切なものを持っていかないで!!
全部抱えて、ガマンして、自分の中に閉じ込めた想いと、感情と、言葉。
押し殺していた言葉を全部吐き出しながら、とことん泣かせてもらいました。
そして、あの時何を感じていたのかをしっかりと受け止めました。
どれだけ自分を殺していたんでしょう。
辛かったね。
寂しかったよね。
また一人になっちゃうって思ってたんだね。
自分が本当に言いたかったことを、自分で受け止めていきます。
そして、自分の想いを出しきった後は、この想いを伝えて、「できなかった」ことを「できた」に変えてゆきます。