アドラー心理学に基づく、愛と勇気づけの親子関係セミナー『SMILE』の受講をはじめました。
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講座自体は親子関係のことで学びが進んでいきますが、『SMILE』はあらゆる対人関係に応用できる内容にもなっています。
私は一児の母でもありますが、前職で、現場での新人教育・人財育成(OJT)にもたくさん関わってきました。
子育ては育休明けの1歳の誕生日から保育所に預けたいたのであまり困った記憶はないですが(そういった意味では関わってくださった保育士さんや先生方、両親には大変感謝しています)、職場での人財育成には悩みまくりでした。
いまとなってはもっと早くアドラー心理学と出会いたかったと思うばかりですが、後悔しても仕方ありません。
実際の講座は親子関係のことで学んでいますが、ここでは悩んでばかりいた職場での人財育成に置き換えて、講座の復習としていこうと思います。
目先の対応で対人関係はよくなるか
相手(こども や 後輩・部下)の行動が目についたことはありませんか?
その時あなたはどうしたでしょう?
私が育成に関わった後輩にもこんな行動をする人(Aさん)がいました。
Aさんは入社1年目、新人でした。
とても利発で愛想もよく、かわいい後輩でした。
ただ、Aさんは気がつくと固まって何もしていないことがよくあり、入社間もない頃はわからないことだらけだろうとこちらから助け舟を出していましたが、2年目になってもしばしばそんな光景を目撃することがありました。
Aさんは3年目になり、新入生のBさんの後輩指導を担当するようになりました。
ところがです。
最初は丁寧にやさしく接してしたAさんですが、次第にBさんに厳しく当たるようになっていきました。
ひどい時にはフロア内の隅々にまで聞こえるような大声でBさんを罵倒するようなこともありました。
そういったAさんの行動は繰り返され、目に余る状況になってきました。
私はAさんを別室に呼びました。
するとAさんはなんと言ったと思います?
「Bさんはバカなんです。だから、話が通じないんです。
最初はがんばって耐えて教えていましたが、もうガマンができません。
Bさんの指導から外してください。」
これには驚きとともに困惑しました。
AさんがBさんの指導に苦労していたことは傍目に見てもよくわかっていました。
しかし、指導に関する相談はなかったので、私から声をかけることはあえてしていませんでした。
Bさんのことを思えば、Aさんを指導から外すのもアリでしょう。
でも、後輩指導をすることは入社2-3年生のOJTの一環でもあるので、後輩指導から外すのも容易ではありません。
こんな時あなたならどうしていますか?
別室に呼んだAさんにどんな話をしますか?
叱ったり、感情的になったり、なだめたり、命令をしたり。
でも、これらは「目先の対応」であり、Aさんの成長の糧にはならないのです。
もっと言えば、Aさんの姿勢に対して、「目先の対応」を繰り返していも、Aさんはいつまでたっても変わらないのです。
実際、私の様々な試行錯誤むなしく、二人の関係は改善することはありませんでした。
「目先の対応」しかできなかった結果でした。
正の注目・負の注目 と 無視
『SMILE』では相手に対して示す関心を「正の注目」と「負の注目」に分けて考えます。
「正の注目」とは、褒め言葉や褒美などで関心を示すこと。
例えば、「えらかったね」「がんばったね」などの言葉がけや、「今日はおごるよ!」などモノを与えて褒める気持ちを伝えるなどです。
「負の注目」とは、禁止・命令、叱る、罰を与えるなどの行為です。
「何度言えばわかるんだ」「今日は○○が終わるまで帰るな」などの叱責の言葉や暴力も含まれます。
そして、「正の注目」でも「負の注目」でもないのは「無視」になります。
「無視」は「正の注目」も「負の注目」も与えず、反応しないことで、無視されるとは「正の注目」も「負の注目」も得られず、他人から何の関心も得られないことでになります。
イヤなことですよね。誰でも。
だから人は「無視」されるよりは、たとえ「負の注目」であったとしても、関心を引きたくなるのです。
さきほどのAさんの話に当てはめてみましょう。
AさんがBさんへの厳しい対応をエスカレートさせていったのはなぜでしょう?
Aさんは、私に、Bさんを指導する大変さを伝えたかったんでしょうね。
Aさんはもともと、自分から私に対して「わからないんです」「教えて欲しいんです」とSOS出す人ではありませんでした。
Bさんの指導を担当するようになって、先輩の意地もあったんでしょう。
さらに私に何かを頼むことは減りました。
でも、伝えたかったんですよね。
その姿を傍で見ている私に助け舟を出して欲しかったんだと思います。
私が、Aさんの指導方針に口出しせず見守っていたことは、Aさんにとって「無視」されていると同じことだったんです。
確かに私は何の「関心」も示していませんでした。
怒ったり、叱ったりもしなかったので、「負の関心」さえ示していなかったんです。
誤解のないように言っておきますが、Bさんの指導について口出ししなかっただけで、日常会話もしていましたし、食事に行ったり、飲みにもよく行っていましたよ。
なのに・・・ なんです。
『SMILE』を学び、Aさんは、Bさんへ厳しい態度をとることで何らかの『関心』を向けて欲しかったのだと、今さらのように気づきました。
Aさんにも、Bさんにも、至らない先輩でした。
どうすればよかったのか
どうしたら、AさんのBさんへの態度を改善していけるのか?
そんな方法はあるのか?
『SMILE』を学んだ今なら、改善していくための方法は「ある!」と、当時の私に教えてあげたい。
それは、Aさんの「がんばり」「努力」を見つけ、そこに「正の注目」を寄せることから始まります。
Bさんに、目に余るような厳しい態度をとった時に、叱る、指導するといった「負の注目」ではありません。
「努力」への「正の注目」をするのです。
Bさんの指導、忍耐強く頑張っているね。
忙しいなか、最善を尽くしてくれてありがとう。
AさんのおかげでBさんは着実に成長しているね。
先輩が後輩を指導することをは当たり前ですし、そのことについて努力をするのも当然のことでしょう。
しかし、その「あたりまえ」 なことに、「正の注目」を与え続けることがAさんを変えてゆくことになるのです。
今ならAさんも、Bさんも、辛い想いから解放できる!そう思えます。
勇気づけ育児☆親と子の心を繋ぐ専門家・澤田有心子
わたしの講師です