突然ですが、あなたの目の前で誰かが倒れたら、何ができますか?
もっと言えば、お家でご家族が倒れたら、お子さんがぐったりして動かなくなったら、何ができますか?
救急車を呼ぶ。
大切なのは「そのあと」なのです。
救急車は呼んだ後、到着するまでの間に誰でもできることを学ぶ
救命講習に参加すると、何ができるようになるかというと、異常を発見した時に「まず」何をしたらいいかがわかります。
「手順」が学べることが一番だと思うのです。
だって誰だって目の前で誰かが倒れればビックリします。気が動転するは当然でしょう。
ましてや自宅で家族が倒れたら…おろおろするのが普通だとは思います。
そんな時、どうしたらいいかを予め「知って」おくことができるのが救命講習です。
脳は心臓が止まると15秒以内に意識がなくなります。
3~4分以上そのままだと回復することが困難、つまり救命のチャンスがどんどん低くなっていきます。
心停止は血流が止まることです。
脳細胞は血流が止まると3~4分で死に始めます。
死んでしまった脳細胞は再生することはありません。
運良く蘇生しても心停止から時間が経てば経つほど社会復帰が困難になるのです。
救急車が到着するまで、全国平均で約8分かかるそうです。
つまり、救急車の到着を待ってる間にも脳細胞はどんどん死んでいってしまうんです。
救急車は呼んだけど、オロオロしていては目の前の人、ご家族は助かっても社会復帰が困難になるかもしれないのです。
救急車は呼んだ後、到着するまでの間に誰でもできることを学ぶのが救命講習の一番大切なところです。
いざという時のために実技中心で手順を学ぶ
倒れている人がいたら、どんな手順で何をするか?
それを実技中心で学んでいきます。
講習ではひたすらこの繰り返しだったと言っても過言ではありません。
まさに身体で覚えてゆきます。
- 声をかけて反応を見る
- 反応がない。
- 助けを呼びます。周りの人を声をかけ、その方たちに「119番の通報」と「AEDを探してきてもらうこと」をお願いします。
- そして、呼吸を確認します。呼吸の確認に手間取るようなら「ない」ものとみなします。
- なければ速やかに胸骨圧迫を始めます。
胸骨圧迫とはいわゆる心臓マッサージです。
普通講習では「胸骨圧迫」と「AEDの使い方」が主ですが、上級講習もこの復習から始まりました。
胸骨圧迫で心臓の代役をする
正常に動いていない心臓は血流を生むことができず、酸素を送り出すことができません。
酸素を身体中、とくに脳に届けるために、胸骨圧迫で心臓のポンプの代わりをしてあげるんです。
血液中に残っている酸素をとにかく回す。届ける。
それが胸骨圧迫をする意味です。
これがただ押すだけじゃ意味がない。
- 胸骨の中心を、
- 1分間に100回以上テンポで、
- 少なくとも5cm沈むくらいの力で、
- 絶え間なく押し続ける。
文字で書いてもどれくらいの力がいるかわからないですよね。
それを人形を使って繰り返し繰り返し何度も経験します。
ハッキリ言って、相当力がいります。
腕だけでやってるとすぐヘタリます。
講習会終わったら手にアザができてました。(苦笑)
それぐらいの力で押さなきゃ、心臓の代わりができないってことです。
運良くAEDが近くにあっても救急隊に引き継ぐまで胸骨圧迫は続けなくてはいけません。
AEDはけいれんを起こして動き方を忘れてしまった心臓を一旦止める電気ショックです。
一旦止めてやることで、心臓が動き方を思い出すのを促すだけなので、胸骨圧迫の代わりにはならないのです。
講習会では、山を歩いている最中に倒れた奥様のために、救急隊が到着するまで胸骨圧迫をされていた男性の話も聞きました。
イザとなったら手が痛いなんて言ってられません。
でも、体力には限界があります。
だから一番はじめにやることは人を呼ぶことなんですね。
たくさんの人を集めて、みんなで胸骨圧迫を続ける。
それが目の前の人を助ける一番大切なことになります。
上級講習ではさらに
普通講習の胸骨圧迫、AEDの使い方は成人向けです。
上級講習では、これを子供、乳児に行う方法を学びます。
子供相手はたとえ人形でも怖かった。
力の加減がまったく違います。
乳児なんて指2本で胸骨圧迫をしますが、怖いのなんの!
でも、やらなきゃ目の前のお子さんは命を落としてしまうかもしれない。
わが子にこんなことがなくて良かったとしみじみ思いました。
わが子ならパニックになりそう。。。
ただ、救急隊の方いわく、わが子の命を救おうと火事場の馬鹿力が出せるのもお母さんだそうです。
小さいお子さんがいるご両親こそ上級講習は受講して欲しいですね。
ご自分のお子さんだけでなく、お友達を助けることもできますから。
上級講習では他にも、気道異物の除去、止血法、骨折・火傷などの外傷、搬送方法なども学びます。
気道異物の除去はちいさい子供が誤嚥した時、これを知っていれば対応も早いと思います。
大きな災害時など、すぐに救急車が来れない時にはこういった知識も役立つだろうと思いました。
傘や雑誌、ラップ、ビニール紐などを使った骨折の固定の仕方や、毛布と物干し竿を使った搬出方法は身近にあるものが結構使えることがわかりました。
いつ、どこで開催しているかは住んでいる市町村ホームページで調べる
短大ワンゲル部時代に日赤講習を受けて以来救急法は学んでいなかったので、ぼちぼちやり直したいなぁと思っていた時期にボランティアガイドの事前勉強会で普通救命講習を受講できる機会がありました。
このときちょっと物足りなく感じていたので、ステップアップして上級講習を受講したわけですが、思い立ってすぐに、まず住んでいる市町村のホームページで調べてみました。
名古屋市の例はコチラ↓
名古屋市:救命講習のご案内(暮らしの情報)
年間でいろんな講習が実施されていることがわかり、上級講習会の日程をまずチェック。
その後、広報誌で募集が開始されるのを待ち、申込みしました。
管轄は消防本部なので、私の住んでいる市町村では消防署が会場でした。
日々現場に立たれている救急隊員の方が講師で、リアルなお話も伺うことができましたし、救急指令センターの見学もさせてもらえました。
講習中も館内放送で、出動要請を何回も聞きましたが、指令室では、実際にその場で119番をコールするシュミレーションを体験させてもらいました。
電話をかけるとどんな対応がされているのか、壁面いっぱいのディスプレイを見ながら知ることができました。
着信した電話番号からすぐに地図上で場所が確認されていましたが、ほぼ瞬時でした。
隊員の方のお話では、固定電話からの通報の方が場所の特定が早いそうです。
携帯電話だと一番近い基地局が発信元になるので多少時間がかかるそうです。
そこで山の中のような場所では、GPSの位置情報で確認可能かお尋ねしたところ、だいたいの位置は特定できるとのこと。
あわせて、どこから入って、どこへ向かって、どんなルートをとっていたか教えてもらうとなおいいですよ と教えていただきました。
いわゆる登山道でなくても、公園やお散歩などで場所がわかりにくい時にはスマホのGPS情報も役立ちそうですね。
参考になりました。
普通講習は3時間、上級講習は8時間ですが、1日で学べるのですからとても有意義だと思います。
しかも無料です。
何度受講しても、無料です。
実際、繰り返し受講されている方もおられました。(普通講習4回、上級講習3回目だそうです)
ご家族や大切な人のために、受講しておいて損することなんて1つもないと思いました。
お時間があるうちに受講することをオススメします!